東京地方裁判所 昭和50年(借チ)1006号 決定 1975年10月09日
申立人
木村マツエ
相手方
鈴木光子
右代理人
浦田乾道
主文
申立人が相手方に対し、本裁判確定の日から三月以内に金三八万八〇〇〇円を支払うことを条件として、別紙目録(二)記載の建物に、同目録(三)記載の内容の増築をすることを許可する。
理由
(申立の要旨)
一 申立人は、相手方から別紙目録(一)記載の土地(以下本件土地という。)を賃借し、同地上に同目録(三)記載の建物(以下本件建物という。)を所有している。
二 申立人は、本件建物に別紙目録(三)記載の内容の増築をすることを計画しているが、相手方の承諾が得られない。
三 よつて、相手方の承諾に代わる許可の裁判を求める。
(当裁判所の判断)
一本件資料によれば、申立の要旨一、二記載の事実が認められ、また申立人が計画している本件増築は、土地の通常の利用上相当であると認められる。
相手方は、昭和五五年一一月三〇日の本件賃貸借契約の期間終了時に更新拒絶をするつもりであること等の理由を述べて本件増築は許されるべきでないと主張するのであるが、右期間終了時に相手方に更新拒絶の正当事由が存するか否かを現時点で判断することは困難であり、その余の理由もいずれも本件増築が不相当であると認めしめる事由とは認め難い。
よつて、本件申立を認容することとする。
二鑑定委員会は、本件増築によつて、借地人にその借地利用の効率増加が期待されることを理由として、申立人に財産上の給付を命ずべく、その額は、本件土地の更地価格三〇六七万七〇〇〇円の約三パーセントにあたる九二万円に増築後建物の面積に占める増築部分の面積割合を乗じて算出した三八万八〇〇〇円(一〇〇〇円未満四捨五入)が相当である旨の意見書を提出した。
三当裁判所は、鑑定委員会の右意見を相当と認め、申立人が相手方に対し、本裁判確定の日から三月以内に金三八万八〇〇〇円を支払うことを条件として、本件申立を認容することとする。
なお、賃料および借地期間については、これを変更する必要性が認められないので、変更しないこととする。
よつて、主文のとおり決定する。
(前島勝三)
<別紙目録(一)(二)(三)省略>